無量塔 藤林さん お別れ会2

藤林さんに感化されたことのうちの一つが
『パイプ』


ある日
骨董屋さんで、熊谷守一の書を拝見した後
茶店で『パイプ』道具一式をとりだし
一服する姿と、香りに、やられた。。


私は、たばこは吸えないのだけど
(吸うと頭がくらくらする)
食事とワインの後
barで楽しむ、ブランデーと葉巻(シガー)の香りがなんともたまらなく好きで
たまに(かっこつけも入っていたと思うけど・笑)楽しんでいたが
ちょっと、シガーには、不満があった。
シガーは、最初の二口(ふたくち)は、素晴らしい香りだけど
それ以降は、私にとって、苦いのだ。
もともと、葉巻(シガー)って、使用人が、ご主人様たちのために
すぱすぱ吸った香りをたちこめた部屋に
ご主人と客人が食後移動し
ブランデーグラスを傾けて香りのマリアージュを楽しむものだったらしい。

と、骨董屋の主人から、若いころ教えていただいたことがある。



わたしには、使用人など、いるわけなく
自分でスパスパと、葉巻をすわないと、いい香りに包まれない(笑)
私の変わりに、そんなことをしてくれる、粋な、いい男友達もいない(とほほ)


ところが!
『パイプ』は、その葉巻の問題をクリアにした
素晴らしい嗜好品だということを
藤林さんに、教えていただいた。


パイプは、最初の二口だけでなく
葉っぱの最後まで、クリアな香りと味が楽しめるのだ!
そして、その上、その葉っぱを、自分好みに調合することができる


まるで、香道みたいなのです。
藤林さんは、最後のところに、アールグレー(紅茶)の茶葉を入れて
香りを楽しむらしく、おお〜!


次日、
福岡で一番大きなタバコ屋に。
知ってしまったら
できるようにならないと気がすまない性格でして
うん万円の、パイプ道具セットを購入してしまっていた


おお〜
ダビドフ』の葉っぱもある!!
『お客様、、初心者は、火を点しやすいこちらの葉っぱがおすすめです』
という、助言は、ぜんぜん、聞き入れず『これください』と
ダビドフを含め、数種類を購入していた


なんでもそうだと思うけれど
いいものって、香りつけなしで、そのもののシンプルな香りが素晴らしいものが
高値になっていると思う。
中国茶鉄観音も、百グラム数百万円なのは、かぎりなくシンプル。


で、
購入した後が、またまた、大変でして(笑)



聞くところによると
上手に吸うのは
時間をかけながら、火をけさずに、最後まで、きれいに灰にすることらしく


ちょこちょこ、火を足したり
スパスパ、せわしいように吸ったり
灰になってない葉っぱがパイプ本体に残っては
ダサイらしいのだ。


ん〜
いい女をあつかうように
やさしく繊細に、かつ大胆になのね〜
と、理想の男性像を想像しながら(笑)納得


理屈はわかっても、、
人前で、吸うまえに、上手にならないと
恥ずかしい〜!!と
週に2回、食事とワインを楽しんだあと
バーによらず、まっずぐ帰宅し、
グレングールドのDVDを、プロジェクターで見ながら
煙とニコチンにくらくらしながら、練習したことは
決っして、藤林さんには言えなかった(笑)


上手にパイプが吸えるという表現を具体的に言うと
優雅にパイプを吸った後
灰皿に、パイプを、カチンとならし
灰が ▲ (さんかく)にキレイに落ちること。


私の暮らしている福岡は田舎だからか?
パイプを嗜好品として、理解し、楽しむ方が、
すっごく、少なくて、
パイプを楽しまれる方、数人しかみかけたことなく
タバコと、パイプを、煙のでる、けむいものというくくりで
一緒のものだと、煙たがる方々もいらっしゃたりと。


そんな、ちょっと
いきがっていた時
パイプの醍醐味を理解する
インテリジェンスな男が、もうひとりいた。
それは、ウシオスペックスの照道会長だった。


白金のマイモンで
偶然再会し、江里さん達と一緒に、日本の照明のことなど熱く語っていると
きもちよ〜くなってきて
『ちょっと、大人の火遊びしていいですか〜』と
照道会長に、失礼のないよう、ご用立ての言葉をかけて
パイプ道具をとりだすと、、
照道会長は、
私から、葉っぱ入れと、パイプをとりあげて、
なんとも、慣れた手つきで、葉をつめる姿に、驚いた!
タバコ吸わないけど!!
パイプは、吸ってたのね。
『君に、似合うパイプはね〜そうだな、白いパイプだ。』
と、いいながら、パイプを楽しまれた。


私は、たばこは、苦手だけど
パイプ、シガーは、素晴らしい、芸術嗜好品だと思う。


そんなことを、教えてくださる、素敵な大人が
この世からいなくなることは、さみしい。


江里さんが他界して
死に対する感覚が変わりました。
美学や感性の共有は、永遠だと。


尊敬する素晴らしい方々の
この世の最後に、感性の会話をさせていただけたこと
ほんとうに、ありがたいことだと、感謝いたしております。
残る今世で、もっと精進し、来世でまた、関わっていただければと。



http://d.hatena.ne.jp/akazaeri/20100916/1284574873




写真:羊の丘にて(ゴタイトウチの羊の石像が素晴らしい)


ひさびさに、一服したくなった。
10月24日の
観月珈琲茶会は『たばこ盆』でなく『パイプ』をセッティングしよ。


日々ノさんのたてる珈琲の後に。

http://d.hatena.ne.jp/akazaeri/20101008/1286518491