赤ちゃんの免疫と腸内細菌叢

赤ちゃんの免疫と腸内細菌叢
赤ちゃんの免疫系を発達させるのは、初期の腸内細菌叢です。もちろん、子宮内にいるときに母親から届けられた栄養や、出産後の母乳も重要ですが、消化機能が未発達な赤ちゃんにとって大事なのは、やはり腸内細菌叢と言えるでしょう。
子宮に無菌状態でいた赤ちゃんが、はじめて腸内細菌と出会うのは、出産後ではなく出産中です。母親の産道を通り、妊娠期に母親が形成していった(膣内にいる)ビフィズス菌や乳酸菌などを中心とした微生物群に出会います。
世界中のどんな民族の赤ちゃんでも、ビフィズス菌や乳酸菌が優勢になります。これらが優勢であるのは、ビフィズス菌や乳酸菌の代謝産物である酸が、赤ちゃんにとっての有害菌から守ってくれるからです。赤ちゃんの胃酸分泌が少ないのは、産道から微生物曝露をしやすくすることも理由の一つとして挙げられるのです。
イタリアのジャコモ・ビアスッチ博士らは、帝王切開で生まれた赤ちゃんは、初期の腸内細菌の多様性に影響を与える可能性があり、免疫系の発達に問題がおきるかもしれないという発表をしました(2008)。これは、経膣分娩で生まれた赤ちゃんグループと、帝王切開で生まれた赤ちゃんグループの採便を比較・調査したものです。結果、帝王切開で生まれた赤ちゃんの腸内細菌の多様性は、経膣分娩で生まれた赤ちゃんよりも少なかったのです。また、離乳食では、腸内細菌叢にあたえる影響はほぼありませんでした。
帝王切開で生まれた赤ちゃんでも、育児環境によっては、経膣分娩の赤ちゃんに遅れて腸内細菌叢を正常に形成するパターンもあります。しかし、腸内細菌に多様性がないまま育った赤ちゃんは、免疫系の発達に影響が出てしまい、アレルギーやアトピーなどの疾患をおこすリスクが高まってしまいます。喘息、アトピー性疾患、耳の感染症、腸機能障害、肥満などにも相関関係があるといわれています。
近年では急激に幼い子どものアレルギー疾患が増えています。子どもの免疫は初期の腸内細菌層の多様性が重要になってくるのです。
※これは帝王切開を否定するものではありません。あくまで腸内細菌多様の重要性を支持したものです。

出典
https://www.facebook.com/nobunaga.yoshitomi