京都で烏龍茶をつくる

朝露に濡れた苔は美しく
茶の樹の新芽が眩しい


禅寺に囲まれた閑居の庭には
茶の樹の先住民がいらっしゃる。


今は、市井のようになっているが
数百年前は、禅寺の敷地であり
お坊さんが、自家用にお茶の樹を育てつくり飲んでいたそう。
たしかに、妙心寺の東林院の参道も茶の樹である。


茶を育てるには、適地のようで
衣笠山からの風や地質も茶の樹の適地のよう。


なので、庭の茶の樹さんは、
ずーっと昔からここにいらっしゃるわけで、
なので、在来種であり
無農薬。自然栽培なわけである。


京都に棲ませていただいて。
庭に、茶の樹があることに、深く感動した。
そして1年、庭の先住民の植物を観察して
庭師さんが剪定し、花が咲き、種をつる姿を眺めていた。
今年は、庭師さんが剪定する部分を、すこしいただいて


日本で中国茶をつくる研究をしたいと思う。
中国茶作りには、気温が30度になる、夏がいいらしい。
今年から、自然と向き合い、発酵茶を研究しよう。


庭にいるということは、
すこしずつ、何回も、実践できるのだから。


固定観念を捨てて
茶と微生物と向き合いたい。


・・・

以下、ノート


◉発酵とは
台湾の烏龍茶ですが、最近は非常に発酵度が低くなっております。発酵とは単純に=酸化と言うことではなく、「制御された酵素的な酸化」を指します。
お茶は揉んで放置しておいても、揉まずに放置しておいても自然と酸化は進みますが、これは発酵とは異なります。発酵というのは、人にとって有益な反応を指す言葉で、お茶の場合は、水分、湿度や攪拌による反応速度を制御することで、理想とする香りを引き出す作業の事です。お茶を放置しても酵素反応は進みますが、それによって生じる香りや個性は必ずしも人間にとって有益ではないため、この場合は劣化と呼びます。

◉烏龍茶の発酵
烏龍茶の場合、原料として収穫された茶葉に、萎凋と言って徐々に水分を落としつつ適度な攪拌を加えることで、細胞に脱水ストレスと、外圧が加わり発酵が徐々に進行します。最初の内は水分が高い為、酵素が反応しやすく、攪拌しすぎると反応は取り返しが付かないほどに進行します。酵素反応が急速に進んだ場合、タンニンのような重合体が形成され、花やフルーツのような香りは生じません。
この為、烏龍茶作りにおける初期段階は、非常に穏やかな攪拌をしつつ、水分が少なくなるように制御します。水分がある程度少なくなれば、酵素反応はゆっくりとしか進行するため、時間をかけて穏やかに攪拌し酸素と茶葉に含まれる液を混ぜます。台湾の烏龍茶はこの発酵工程が比較的短く、反応を初期段階で止めます。この為、成分的にはポリフェノールが僅かに酸化した状態で反応が止まっており、その際に生じる低分子の副産物ゆえに花のような清涼感ある香りがします。

高級な鉄観音は火が入っておらず、桃のような香り
鉄観音ですが、最近人気があるのは火を全く入れないタイプです。
このタイプですが、極めて強い桃の香りと、花の香りがし、初めて飲んだときにはビックリした事を覚えております。
「どうやったらお茶でこれほどの香りが出せるのだろう?」「発酵って凄い!」と昔は思っておりました。
でも、鉄観音と作り方がそう変わらない台湾の烏龍茶の場合、この様な香りは一切しません。
鉄観音の香りの秘密は収穫のタイミング
実は現在の清香型の鉄観音の場合、お茶がかなり成長してから収穫をします。
お茶は春先の発芽直後は茎も軟らかく緑色をしております。
ところが鉄観音の場合、茎が完全に茶色になってから収穫されます。
山菜に例えるなら、タラの芽やコシアブラの芽の状態で収穫するのが緑茶、「少しだけ大き目かな」と言うくらいに収穫するのが台湾の烏龍茶、そして、鉄観音の場合、完全に成長しきって山羊が喜びそうな状態の葉を収穫します。いわゆる青々とした状態だからこそ、それが発酵することで、あの鉄観音特有のフルーティな香りが出せるのです。


◉ 烏龍茶の基本的な作り方
【茶摘み】
烏龍茶は「開面採(カイメェンツァイ)」、つまり茶葉が開ききってから3〜4葉を摘む。
白茶などのように新芽の状態だけを摘む1芯や1芯1〜2葉では、摘まない。
茶摘みの時期になると地方の女性達が働きに来る。
茶葉に臭いがつかないように、化粧品や香水をつけることは出来ない。
というか、お化粧をするような娘は、働きに来ないけどね。
夜まで置いておくと発酵が進んでしまうので 午前中に摘んだ茶葉はお昼には、工場に運ぶ。


【日光萎凋(にっこういちょう)】
茶葉は太陽の下で広げられ、発酵を進ませる。
水篩(すいし)と呼ばれる円形の平籠(ひらかご)か、ゴザなどの上に広げる。
天日と風で水分を80〜90%になるまで乾燥させる。


【室内萎凋(しつないいちょう)】
茶葉は天日干しの後、炭をおこして26度に保った部屋で発酵させる。



【揺青(ようせい)】
途中、竹のザルでゆすって表面に傷をつけ、発酵を促す。


【殺青(さっせい)】(釜炒り)
烏龍茶はいつ発酵を止めるかが重要、茶によって発酵度が15〜60%の違いがある。
岩茶の場合は茶葉の7割が緑、3割が赤くなった時が理想。
発酵を止めるには、200度の釜で煎る。


【揉捻(じゅうねん)】
手でよく揉んで味と香りを引き出す。


【団柔(だんじゅう)】
鉄観音や凍頂烏龍など、丸い茶葉は茶葉を布にくるんで丸く固めることで、茶葉も丸くなる。


【乾燥】
炭火で、一晩乾燥させると完成です。

武夷岩茶の製法

この技術は伝承で伝えられ、手で熱を感じながら微細な技術を把握しなければならないといわている。


【摘採】
晴天なら8時から10時が最もいい、次が午後2時から5時。


【晒青(日光萎凋)】20-30分間
茶葉の裏返しを行い、水分を10-15%蒸発させる。
太陽光が強い時は、日光萎凋と陰干の両方を行う、そして、萎凋を均等にさせる。


【室内萎凋】30分程度
この時、枝部分の水分が茶葉の方に転流する(環陽)。
曇りや雨のときは、人工的に温めて加温萎凋を行う。


【做青(揺青)】8-10時間。製茶工程で最初の緻密で複雑な工程。
温度と湿度を安定させることによって、「青間」が進行する。
水分が蒸発し、「褪青:たいせい」の後静置させる。
回数は「静置」をはさんで10回程度、一回の揺らす回数は最初7回程度で、少しずつ増やしていき、最高で65回にまでなる。
揺青を行っていると花や果実の香りが適度に認められるようになってくる。
[揺青前期]−手を使わない。(竹ざるを揺らすだけ)
[揺青中期]−揺らした後で手を使う。(竹ざるで揺らした後、茶葉を手で葉をひるがえす)
[揺青後期]−手だけで行う。


【静置】大体60分-80分-30分、水分の蒸発は32-35%。
「環陽」を促進させるため、手で持って葉を軽くたたくと葉の葉脈が透明になってくる。
葉色は、青、腹は緑、葉縁は朱色の3色になる。


【炒青(殺青)】釜の温度220-250度約2分間、悶炒が主。
ここで茶葉の品質形成が定まる。味が純粋化し、香りはさらに高くなる。


【揉捻】
1分間行う。


【復炒】釜の温度180度、20秒間
香:岩韻を高くする大切な作業。


【走水焙】釜の温度90-120度、10分余り
この段階で6-7割以下まで水分が蒸発する。ふるいで粉末を除去する。


【攤涼、復焙】1-2時間弱火でゆっくりあぶる。
これが武夷岩茶特有の工程で、これにより抽出させた時、茶の香が高くなり、抽出液の濃さも増す。


◉転載元
http://hojotea.com/jp/posts-765/
http://www.chinese-tea.info/04bl/seizou.html